【040407】

 「……ハアっハアっ、ハァっ、ハァっ、……ハァーーー……。」
 荒くなっていた息が、太く、静かにものになったそのアイボが、
 「……ね、姉ちゃん、……今生の見納めに、どうか姉ちゃんの……、お、お宝、拝ませちゃあ、くれねぇだろうか……。」
 「……。」
 「か、金ならある、金ならある……。」
 「……。(100アデナぽっちじゃあなあ……。)」
 少し顔が顰まってしまった。
 それを見澄ましたのではないのだろうが、
 「……お……、お願いだよぅ……。」
 消え入るような声で言う。
 やおらローブの前裾に手をかけ、感情の篭らない仕草でゆるりと捲し上げる。
 果たして、見えたのかどうか……。
 「ああっ……!あ、あんた、せぇしょく者の鏡だよぅ、観音様だよぅ……。」
 愉悦に顔を歪ませ、目を見開いたまま、アイボはこの世から消えていった。
 裾をのろりとおろし、金を見やり、
 「100アデナぽっちじゃあなあ……。」
 そう呟いて、金も拾わずに次の獲物を求めて走り去って行った。

 そういう、ドラマティカルな一コマ。
 
 嘘。

 さて、昨日は結局夜中まで強引にやって、やっと1レベル上げられので、とりあえずオフ丸君を狩りに行ってみる。
 効率悪し。いつもの狩場に向かうことにする。途中、ラグっているところをデン子に背後から襲われるという、危険な一コマもあったが、なんとか狩場へと到着。

 昨日の教訓を胸に、ラグらないよう、さくさくと狩りを進める。
 するとまた突如に!
 「ドボーーーーーーンっ!!」
 と、乳白色の海の中に突き落とされる。
 なるほど、メンテ前はこういう仕様になるのか。途端に滑らかになる動き。速い!速い!快適〜〜〜ッ!ああッ、こういう風にもオプションでできるようにすればいいのに!!
 この、エンペラータイムを生かし通常の3倍のスピードで狩りまくる(御約束的嘘)。
 しかし、しばらくは調子良かったものの、Expの%が上がらなくなっていた。そして、向かっていった敵が、ぼう……っと、消え始めた。ああ、こっちの毒蜘蛛も……、ああ、こっちのアイボも……。
 それは、文字通り、夢の様な情景だった。

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